久しぶりにゲーム関係のドキュメンタリー映画を見たので、感想です。
Webでまとめられていたゲームサウンドの歴史、『ディギン・イン・ザ・カーツ』や、日本のゲーセンの歴史を追った『100 YEN FILM』等、やはりゲーム好きとしてはこの手のゲーム文化の歴史を追ったドキュメンタリーものも、ついつい目がいってしまいますw
そして・・・そこに登場するゲームのほとんどが日本製なのに、この手のドキュメントの制作が日本では行われない現状にちょっと寂しさを感じてたりします・・・(日本ではあまりドキュメンタリー自体が流行らないのかもしれませんが・・・)
で、今回の『ATARI GAME OVER』ですが、こちらは完全にアメリカ製品のアメリカ主軸のお話です。
とは言え、ATARIと言えばゲーム史を紐解くと必ず登場する最古参のゲームメーカー。
そして、『アタリショック』と言えばゲーム好きなら一度は聞いたことがある単語だと思います。
wikipediaに拠れば、
北米における家庭用ゲームの売上高は1982年の時点で約32億ドル(同年末の日本円で約7520億円)に達していたが、1985年にはわずか1億ドル(同年末の日本円で約200億円)にまで減少した。北米の家庭用ゲーム市場は崩壊し、ゲーム機やホビーパソコンを販売していた大手メーカーのいくつかが破産に追い込まれた。ゲーム市場最大手であったアタリ社も崩壊、分割された。この1983年から1985年にかけての北米家庭用ゲーム市場の崩壊をアタリショックと呼ぶ。
という・・・
原因も諸説あるんですが、自分の理解では盛り上がった際の粗製濫造で微妙なパクリタイトルとかが蔓延り、一気にユーザーが離れていった・・・と解釈してたんですが、
ことATARI社の没落に、『E.T.』というクソゲーが大量の赤字を出したから、という説があるのを初めて知りましたw
・・・また、この作品を見ていけば、ことはそんな単純な話ではないってことも分かっては来るんですが・・・
都市伝説として、ゲーム業界の超大手を崩壊に追いやった伝説のクソゲー・・・ってその設定だけ聞くと不謹慎ながらちょっとワクワクしますよねw
多分、こういう心理が「E.T.」を長らく戦犯のままにしてるんでしょうから、心苦しいところもありますが・・・
そして、このアタリショック後に売れ残った大量の不良在庫を埋葬したとされる「ビデオゲームの墓場」がある・・・なんて、こんな話しも初めて聞きましたが、そりゃあゲーマーの間で都市伝説として語り継がれるのも分かる気がします。
今作は、そんな都市伝説とされていたアタリショックで大量の不良在庫として埋められた「E.T.」が、本当にあるのか?
ビデオゲームの墓場が実在するのか?
に迫ったドキュメンタリーです。
わざわざこの真実を確かめるために広大な埋立地を掘り起こすという・・・
それぞれの職人さん達の心意気にも惹かれるものがあるんですが、当時のATARIやE.T.制作者の置かれた状況、社風等、様々な角度での検証もなされていて、とても興味深い内容に仕上がっていると思います。
特に、E.T.を作るにあたって、
クリスマス商戦に間に合わせたい!
製作期間、後5週間しかないけど、何とかなる?
みたいな話って・・・
2015年でも聞いたことあるぞ・・・;;
(さすがに5週間ってことはないだろうけど)
もしかして、ゲームにおける炎上プロジェクトの元祖?w
何時の時代でも、経営側からの開発者への無茶振りってなくならないもんなのね・・・
しかも、当時の開発担当はそれ以前に空前のヒット作を生み出しており、「自分なら出来る!」と過信した挙句、開発環境を自宅に持ち込んで2週間以上不眠不休・・・
もう、何か色々偲ばれてつらい・・・;;
勝手に憶測するに、その状態ではゲームとして体を成したのが期限ぎりぎりで、バグ取りや調整がほとんど出来なかったんじゃないかと・・・
まあいいや、それでも出しちゃえ!っていう感じで、出しちゃったんじゃないかと・・・
それで、後々まで語られるようなクソゲーの製作者って汚名を被ることになったのは、本当に可哀想な一面もあります。
とは言え、当時の社風も語られてるんですが、業績が急上昇して「ジャグジーで会議」「コカインを吸いながら仕事」みたいなハチャメチャな一面もあったみたいなんで、調子に乗りすぎちゃったのかなぁ・・・と思う面もあるんですが。
自分的には、当時のゲームを取り巻く社会環境や、初めて登場した家庭用電子ゲームに熱中した人達、埋立地を掘り起こす職人さんのプロフェッショナルな仕事の様なんかを見ても、非常に興味深い内容だったなーとつくづく思います。
果たして、『ゲームの墓場』は存在するのか!?w
そんなワクワク感も持ちながら、最後まで見ることが出来ましたw
ゲーム開発って、自分が物心付く前から、こんなことやらかしてるのね・・・
っと、少し複雑な気持ちになりながら・・・w